忌服(きぶく)

忌服とは 遠い昔より私たち日本人は、人の死はその家族・その地域にとって生命の継承の点で重大な危機と考えました。家族や親族に「弔事」が生じた場合には、不幸を乗り越えて清浄な心身を回復し、その後の正常な家庭生活へ立ち返る節目にと、ある一定の期間をもうけて喪に服し慎むことが慣習です。これを「忌服」や「服忌」又は「喪がかかる」「ブクがかかる」「ボクがかかる」などと表現して、主に家庭や地域における神まつり・慶事への出席等をしばらくの間、遠慮することを風習としてきました。清浄を尊び、死などの穢れを忌み、集団を重んじる日本人の倫理観がここに見られます。
忌とは 人の死を恐れ忌むことで、故人の死を悼み、御霊をなごめるための期間のことで、神道では、最長で50日です。その期間内にあることを「忌中」といい、自分が忌むべき状態にあることで、この期間が過ぎると「忌明け」となります。忌の期間は、特殊な事情があってやむを得えない場合は適宜短縮するのも差し支えありません。地域の慣例により異なる場合がありますが、期間は「忌」の期間一覧表を参照ください。
服とは もともと人の死を悲しんで喪服を着ることを言います。忌の期間が終われば日々の生活は平常に戻るわけですが、故人を追慕する情や社会的道義の上からも、なお当分のあいだ喪服を着て晴れがましい場所に出ることを控えたいと思うのは自然なことです。このように身を慎みながら、悲しみを乗り越え平常心に立ち返ろうとする期間を「喪中」(もちゅう)と言います。 服の期間は、本人の哀惜の情によって決められるべきで、一律に日数を区切って規定するものではなく、夫々の心情に委ねられます。普段の生活に戻るための「心のけじめ」をつける期間として、慎みを表しつつ平常と変わらぬ生活を送るようにしていきます。

「忌」の期間一覧表

※葬儀家の場合の日数

亡くなった人
忌の期間
同居している人 (本人との関係にかかわらず)
50日

※葬儀家以外の場合の日数

亡くなった人
忌の期間
父母・配偶者・子(7歳以上)
10日
7歳未満の子 祖父母・孫・兄弟姉妹 配偶者の父母・配偶者の子(7歳以上)
5日
曽祖父母・ひ孫・甥・姪・おじ・おば 配偶者の子(7歳未満)・配偶者の祖父母 配偶者の孫・配偶者の兄弟姉妹
2日
高祖父母・やしゃご・いとこ・兄弟姉妹の孫 祖父母の兄弟姉妹・配偶者の曽祖父母 配偶者のひ孫・配偶者の甥 姪 配偶者のおじ おば
1日

けがれ・塩・いのちの継承

穢れはすべての人間の身に及ぼす一切の不吉感、嫌悪感などの忌まわしい状態をいいます。葬儀での悲しみや不安は参列者にも及び、それを断ち切るために帰宅のときに塩をまいて清めるわけです。 こうした災いなどを他人へまきちらすかも知れないという点で、遺族自身がしばらくの期間は穢れをもつものであると見るのですが、一方でこの期間は、最も悲しみや不安の状態にあるにもかかわらず、故人を通して、その家の先祖代々の大切な心が、子孫へと継承されなければならない重要な期間でもあるのです。大切なものを見失わぬための慎ましやかな生活が必要であるわけです。

 

忌中の心得 ・葬儀家にあっては、神棚の前に白紙をはります。
・地域における祭礼行事・神社への参拝を遠慮します。
・結婚式・祝賀会・式典などの人生儀礼への参加また行楽旅行を遠慮します。
・祝い事の予定を、忌明け後に延期します。
・遠方にあって訃報を受けたときは、受けた日から、その残りの日数の忌に服し、忌の期間を過ぎた場合は、その当日だけ服します。
・忌の期間を過ぎて葬儀を行う場合は、当日だけ忌に服します。
忌明けの心得 ・一般には50日祭(仏式は49日)の終了をもって忌明けとし、神棚の白紙を除 いて平常の神棚祭りを再開します。
・忌の期間中に「天照皇大神宮」「氏神さま」などの御神札の頒布があった場合、忌が明けた後、すみやかに神社に出向いて、お受けしましょう。または期間中に受けておき、明けてからおまつりすることもできます。
・忌の期間中、立場上やむなく地域の祭礼行事や結婚式、宮参り、七五三祝いなどの人生儀礼に参加の必要のある場合は、忌明けの祓い(ブク抜き)を受けましょう。
「服」期間の心得 ・神社参拝や祭礼行事など神事に係わること、また正月行事や年賀状を含む年賀挨拶については差し支えありません。
・本人の心情に委ねられながらも、徐々に日常の生活に立ち返るようにします。
・故人を追慕する気持ちは大切ですが、悲しみを乗り越えご先祖様として敬いの気持ちでお参りするよう心がけましょう

※上記以外の親族については「忌」なし。 ※服の期間は、その人の心得に任せる。

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